エゾムシクイが鳴きだした
このありふれた鳴き声は、解説によれば「ツィーツーツィー」と表されることが多いようで、私が聴こえるように書かれたものをついぞ読んだことがない。
私がどう聴こえるかというと、
「ひーつーじー」
なのだけど。
羊を呼んでる、と毎年勝手に思っている。いやそうは思ってない。呼ぶ意味がわからん。でも、昔も今もそう聴こえるし、別の聴こえ方など欲しない。
いいやん羊。
先入観なく鳥の声が聴けた幸せを噛みしめる。
私は今世で何千回も、意味不明に羊を呼ぶ小鳥の声を聴きながら心躍らせることができる。
そして羊が好きだった妻を何千回も思い出す。
「え〜〜? ちがうでしょぉ〜?」
と苦笑しながら言った妻の声と、時々ひとりで「ひーつーじー」と呟いていた独り言。
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